ASAKADAI ANIMAL MEDICAL CENTER

[ 病気のお話 ]

皮膚疾患 前のページへ戻る >>

 皮膚に赤いぶつぶつ(丘疹)ができたり、フケが増えたり、毛が抜けたりと皮膚のトラブルは様々です。
また、しきりに掻いたり舐めたりと痒がる様子があると見ているほうもつらくなってしまいます。
これらの症状を示す皮膚病も原因は様々で、皮膚自体に問題がある場合もありますが、皮膚に限らず全身の影響が皮膚に出てきていることもあります。
診察の流れ
問診
皮膚に関すること、生活に関することなど細かくお話を聞かせて頂きます。これまでの経過や わんちゃんや猫ちゃんの生活スタイルなども皮膚病の原因を探る重要な手がかりになります。いつ頃から症状が出たのか、そしてどのような経過なのか、家でのわんちゃんや猫ちゃんの様子などを飼い主様からの目線でのお話を教えて頂ければと思います。
身体検査
皮膚の状態(皮疹)やその分布だけでなく、耳、歯、関節、聴診など全身を診させて頂きます。
検査
  • 皮膚科的検査
    毛検査 毛包に寄生するニキビダニを確認します。また、毛に寄生する真菌(糸状菌)の確認も出来ます。脱毛がある場合には、毛包の様子をみることで休止期脱毛なのか、外傷による脱毛なのかもある程度わかります。
    掻爬検査 皮膚表面に寄生するツメダニ、シラミ、疥癬などを確認します。
    細胞診 細菌または酵母の感染がないか、また浸潤している細胞の種類や数を確認します。
    皮膚生検 経過が長く原因がはっきりしない場合、また腫瘍や免疫介在性疾患を疑う場合などに行います。通常は局所麻酔で皮膚の一部を少し(6mm程度)切除し病理検査を行います。
  • 血液検査
    皮膚疾患の中には代謝や内分泌が関係することも多く、また治療に使用する薬が安全に使えるかどうか調べるためにも血液検査は必要になってきます。
    生化学、血液一般検査 貧血や炎症の有無、肝臓や腎臓などの状態を調べます。
    内分泌検査 主に皮膚疾患で問題となる甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンを調べます。
    血清IgE検査 アトピー体質やノミアレルギーが考えられるときに確認のため行います。
  • レントゲン検査
    皮膚疾患とあまり関係がないように思われますが、長期にわたる痒みを思わせる掻き行動や舐め行動が関節の痛みや神経学的疾患によることがあります。そのため、レントゲン検査が必要になることもあります。
よく見られる皮膚疾患
  • 膿皮症、細菌性毛包炎
    犬によくみられ、表皮や毛包に主にブドウ球菌であるS.pseudintermediusが感染し、発生する。短毛種では背部に赤いぶつぶつ(丘疹)がみられることが多く、長毛種では腹部に脱毛やフケを伴う赤い斑としてみられることが多い。シャンプー療法や抗生物質の投与で治療します。再発する場合にはその要因を考えていかなければなりません。
  • マラセチア皮膚炎
    皮膚に皺や脂の分泌が多い犬でみられます。マラセチアという脂の好きな酵母に関連した皮膚病で、皺が多く脂のたまりやすい首、内股、腋、腹部に多くみられます。これら部位の皮膚が赤くなり、フケが多くなり、痒みを伴います。
    シャンプー療法やマラセチアの管理を目的として抗真菌薬の投与を行います。脂の多い犬種(シーズーやアメリカンコッカースパニエルなど)ではうまく皮膚の状態を良好に保つことを目的として治療していきます。
  • ニキビダニ症
    毛包に常在するニキビダニが過剰に増殖することで皮膚に炎症をおこす病気です。この病気には動物側の要因も大きく、免疫が低下するような要因を考えていかなければなりません。もちろんまだ免疫能がしっかりしていない若齢の個体では成長と共に良くなることもありますが、高齢の 個体では免疫能が低下する全身の問題がないか調べる必要があります。治療にはニキビダニの駆虫と一緒にシャンプー療法で皮膚のコンディションを改善していきます。
  • 皮膚糸状菌症
    皮膚糸状菌症はおもにMicrosprum canisと言われるカビが増殖した皮膚病です。犬よりも猫でよく見られます。毛やフケに感染し、脱毛やフケがみられます。治療には抗真菌薬の投与が行われます。そして、落ちた毛やフケが感染源になり、環境中で長期間生存するため、生活環境の清浄化が必要になってきます。ヒトにも感染することがあるため、注意が必要です。
  • アトピー性皮膚炎
    顔(眼の周り、口周り、耳)や肢端(指の間など)の痒みが特徴で、はじめは皮膚が赤く(紅斑)ひっかき傷がみられます。慢性化すると皮膚はごわごわしたかんじになり(苔癬化)、色が黒くなってきます。日本では犬種的に柴犬に多くみられ、比較的若齢で発症します。多くの場合、ハウスダストマイトに対する血清IgEが上昇しているため、この病気を疑う場合には血清IgE検査を行うことがあります。治療は痒みや皮膚炎を抑える治療を行い、皮膚のコンディションを整えていくスキンケアを行っていきます。