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舌の色が青くなる(チアノーゼ)などの症状が認められたら心臓疾患の疑いがあります。
雑音が聴取される場所や音の違いも診断には重要です。
心臓の雑音は程度により6段階に分けられます。
雑音は大きくなるとさわると分かるような振動(スリル)を伴う事があります。
心臓は全身に血液を送る重要な役割をしているため、心臓が悪くなると他の臓器にも大きな負担がかかることがあります。特に心臓と腎臓は密接な関係にあるため、腎機能を含めた内臓機能の検査を推奨しています。
負担のかかった心臓は徐々に肥大していきます。また、さらに心機能が悪化すると血液は全身をうまく循環できなくなり、肺に水がたまる(肺水腫)、胸や腹部に水がたまる(胸水、腹水)ことがあります。これらを確認するのにX線検査が有用です。
心臓の超音波検査をすることで、心臓の弁の動きや心臓の各部屋の大きさ、筋肉の厚さなど心臓の内部まで詳細に把握する事が可能です。また、心臓内を流れる血液の早さを測る事で、心臓の機能の厳密なモニターが可能です。心臓の何処がどのように大きくなっているのか、血液の流れはどうなのか、はっきりと把握することが、適した治療につながります。
右側傍胸骨四腔断面 心臓の4つの部屋を描出します。 それぞれの大きさや筋肉の評価をします。 |
右側傍胸骨短軸断面 左心房と大動脈の大きさの比較。心臓の拡大の程度を探ります。 |
カラードプラ 血血液の流れる向きを色で示し、逆流や高速血流を明らかにします。 |
流速の計測 弁を流れる血液の早さを測り、血流速から重症度の評価や治療効果の判定を行います。 |
心臓に疾患のある場合、血圧が上昇する場合も降下することもあります。高血圧はさらに心臓に負担をかけ、心不全を悪化させる事があります。その他にも腎臓や眼といった色々な組織に負担をかけてしまいます。その程度を把握する事でより適した治療を行うことが可能となります。また、治療効果の判定のためにも定期的な血圧測定を推奨しています。
● 心電図
心臓は通常一定のリズムで拍動していますが、これは電気的な刺激によって調節されています。この刺激の伝導に異常が生じると、いわゆる不整脈が発生します。不整脈は聴診や以上のような検査だけでは分からないものもあり、失神など重篤な症状を急に起こすことがあります。このため、不整脈の種類を正確に判断し、適した治療を選択するため、以上のような検査と組み合わせて心電図を計測する事を推奨しています。
例えば僧帽弁閉鎖不全症(MR)という病気は、病状の程度により5つの段階に分類されます。
下記の段階に合わせて適した治療を行っていきます。
病状が進行すると、より積極的な治療が必要となってきます。
● 内科的療法
内科的療法は心臓の負担を軽減するため、血圧を下げたり、心拍数や拍出量を調整する事が主な目的です。状態の維持や改善のため生涯内服薬の投与が必要となることがあります。そのままでは命に関わるような病態でも症状の改善を可能にします。
治療前(肺水腫) X線検査:肺野の不透過性の亢進と肺胞パターン。超音波検査:E 波 1.69m/sec、A 波 0.60m/sec、E 波の増高とE/A 比の上昇、拘束型パターン。 |
治療後(肺水腫の改善) X線検査:肺野の透過性は亢進。超音波検査:E 波 1.19m/sec、A 波 0.74m/sec |
外科的治療法は主に先天的な疾患が対象となります。
各疾患毎に手術方法は異なり、専門的な施設や技術が必要となるため、適応となる場合には随時御紹介致します。
また、初期には、はっきりした症状を示さない事が多いため、かなり進行してから気づくことにもなりかねません。
早期の診断と治療がおうちの子の生活の質の向上や長生きにつながることがあります。
ペットの様子が気になったらまずはお気軽にご相談下さい。
さらに重症化すると肺水腫といって肺に水がたまり命に関わる事もあります。
聴診では心雑音が聴取され、雑音は程度により6段階に分類されます。また、心音の聞こえ方により胸水や心嚢水の存在を疑う事や、肺音の異常から肺水腫を疑う事も可能です。この他、呼吸様式や回数、舌などの粘膜の色は重要な情報となります。この病気が疑われた場合、胸部X 線検査や超音波検査、さらに心電図検査や血圧の測定を行い、上記のACVIM分類に則って評価します。
治療は検査によって把握した分類に応じて行います。初期の場合には低ナトリウムを主とした食事療法での管理が可能ですが、ステージが進行すると様々な内服薬が必要となります。心臓の状況は刻一刻と変化するため、定期的なチェックと状況に合わせた内服薬の調整が必要です。それぞれの症例で病態は全く異なるため、まずは当院獣医師にご相談下さい。
疾患が疑われる場合にはX線検査や超音波検査を行います。胸部X線検査では心臓の形や大きさの変化、超音波検査では筋肉の厚さや内腔の広さなどを評価します。
治療には内服薬が必要です。肥大型心筋症は放置するとどんどん進行して命に関わる病気です。定期的な検査による総合的な評価によりその病態を正確に把握し、状況に応じた内服薬の調整を行うことで症状の無い期間を長くすることが可能であり、血栓塞栓症など命に関わる事態を起こすリスクを軽減する事が可能です。それぞれの症例で病態は全く異なるため、まずは当院獣医師にご相談下さい。
代表的なものに、
・動脈管開存症 ・心房中隔欠損症 ・心室中隔欠損症 ・大動脈狭窄症 ・肺動脈狭窄症
などがあげられます。
また、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈の右方偏位および右室肥大を同時に呈するものをファロー四徴症といいます。いずれの疾患も奇形の程度によりその症状は大きく異なります。
そのため、若齢時に発見されることもありますが、特に症状を呈さず成長してから偶然発見される事もあります。
奇形が存在すると聴診で雑音が聴取されることも多いため、一般的な身体検査から病気が疑われることがあります。その上でX線検査や超音波検査を行って診断します。超音波検査時にカラードプラを用いて異常な血液の流れを描出することが可能です。
いずれの疾患も気付かないうちに進行してしまい、命に関わる事があるため、若齢時より病院を受診することをお勧めしています。 病態によっては無治療で生涯をまっとうできる事もありますが、治療が必要な場合には手術による整復が必要です。心臓の手術には専門的な知識や技術が必要であるため、必要に応じてそうした手術が可能な専門診療施設を御紹介させて頂きます。