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脊椎(いわゆる背骨)の間にある、
クッション材である椎間板に変性が起き、
太い神経である脊髄の通る脊柱管内に
椎間板やその内容物が飛び出てしまい、
様々な神経症状を起こす病気です。
クッション材である椎間板に変性が起き、
太い神経である脊髄の通る脊柱管内に
椎間板やその内容物が飛び出てしまい、
様々な神経症状を起こす病気です。
写真左 : 術前 / 写真右 : 術後
椎間板ヘルニアの分類
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ハンセンⅠ型:脊柱管内に飛び出るものが椎間板の内容物(髄核)で、症状は急性で犬種はダックスフント、ペキニーズ、トイプードル、ビーグルで多く報告されています。
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ハンセンⅡ型:椎間板の変性が起こり、徐々に椎間板自体が脊柱管内に突出するため、症状は緩やかに起こってくることが多く、ハンセンⅡ型の犬種以外の犬種で、加齢に伴いみられることが多いです。
どんな症状?
- 急に腰が抜けたように歩けなくなった
- 首や背中を触ると痛がる
- 後ろ足がふらつく
- 抱き上げる時キャンと鳴き痛がる
- 排尿、排便が意識的にできない など
椎間板ヘルニアの重症度分類
臨床評価 | 臨床症状と神経学的検査 | |
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グレード1 | 腰背部疼痛のみあり(神経学的に問題なし) | 内科的治療、安静、 リハビリテーション |
グレード2 | 随意にて歩行可能、後肢のふらつきなど | 内科的治療、安静、 リハビリテーション |
グレード3 | 起立・歩行困難、 随意(自ら動かす)運動あり |
内科的治療、外科的治療 |
グレード4 | 起立・歩行困難、後肢麻痺、随意運動なし、 排尿障害あり |
外科的治療 |
グレード5 | a)深部痛覚のない完全麻痺(<48hrs) b)深部痛覚のない完全麻痺(>48hrs) |
a)外科的治療 b)手術不適応の可能性 |
診断
視診、触診(神経学的検査・整形外科学的検査)やX-ray検査、CT、MRIの画像検査により脊髄の圧迫病変を確認、 部位の特定をします。
一般的な診断の流れ
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来院
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問診犬種、年齢、臨床症状など
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検査視診、身体検査(神経学的検査・整形外科学的検査)、X-ray検査、
血液検査 -
画像検査専門機関にて、全身麻酔下でMRI画像検査
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脊髄の圧迫病変の部位、重症度を特定
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内科的・保存的治療or 外科的治療
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リハビリテーション
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退院(リハビリテーションは継続)
- ● 内科的・保存的治療
以下のものを組み合わせて治療していきます。- 体重管理
- 運動制限(ケージレスト)
- 抗炎症・鎮痛剤
- サプリメント
- リハビリテーション: 温熱療法(レーザー)、徒手療法、運動療法、 装具(コルセット)、アイシング
- ● 外科的治療
内科的・保存的治療が奏功せず臨床症状が出ている症例やグレード2よりも重症の場合は外科手術適応となります。- 頸部腹側減圧術 -ベントラルスロット-(Ventral slot decompression)
頸部椎間板疾患において、脊柱管内に突出または脱出した椎間板物質を椎間に作成したスロットより除去し、頸髄への圧迫を取り除く治療法であります。 - 片側椎弓切除術(Hemilaminectomy)
胸腰部椎間板ヘルニアで最も一般的に使用される術式であり、脊髄の片側に変位した椎間板物質の摘出に使用されます。他の術式と比較し、脊柱管の広範囲を露出することができ、片側に逸脱したHansenⅠ型に適応されます。 - 背側椎弓切除術(Dorsal laminectomy)
背側切除術は、脊柱管を構成する脊椎椎弓の背側部分を棘突起とともに切除する方法であります。腰仙椎間にみられる椎間板ヘルニアや変性性脊椎症などに伴う脊柱管狭窄症など、いわゆる馬尾症候群の治療に対して使用します。
- 頸部腹側減圧術 -ベントラルスロット-(Ventral slot decompression)
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頸部椎間板ヘルニア頸部椎間板ヘルニアでは、頸部の痛みのために、触ると嫌がる、首を上にあげらない症状や、前肢から四肢にかけての麻痺により、重症例では起立困難を示す場合があります。
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胸腰部椎間板ヘルニア胸腰部椎間板ヘルニアでは、腰の痛みのために、抱き上げると痛がる症状や、後肢に力が入らず腰を落として歩く様子や、排尿・排便障害を示す場合があります。
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進行性脊髄軟化症急性の痛覚反応消失を伴う重度椎間板ヘルニアでは、逸脱した椎間板物質による脊髄の神経細胞の虚血・出血性壊死により、脊髄実質が軟化する進行性脊髄軟化症が発症することがあります(深部痛覚の消失した症例の5%)。発症してしまうと手術の成否に関わらず、2〜4日以内に呼吸不全で死に至ります。当院では進行性脊髄軟化症になる可能性がある重度の椎間板ヘルニアの患者様に対しては、本病態についてご理解頂くよう術前の十分なインフォームドコンセントを心がけています。