整形股関節脱臼 前のページへ戻る >>
股関節脱臼は通常、外傷の結果として起こり、その多くは交通事故などの高エネルギー外傷が原因となります。その他には、落下や股関節形成不全、レッグ・カルベ・ペルテス病、非外傷性の突発性の脱臼などが原因となります。交通事故や落下による股関節脱臼では、同時に骨盤や大腿骨の骨折も見られることもあります。
症状
激しい疼痛、肢の挙上
診断
- 視診
- 触診(整形外科学的検査)
- X-ray検査:股関節脱臼だけではなく、骨折などの疾患を検査します。
一般的な診断、治療の流れ
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来院
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問診外傷や落下などの有無、臨床症状(肢を挙上している、激しい疼痛)
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検査視診、触診(整形外科学的検査)、X-ray検査
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股関節脱臼以外(骨折・股関節形成不全など)の
除外 -
非観血的整復(皮膚を切開せず脱臼の整復)or
観血的整復(手術) -
安静orリハビリテーション
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退院
股関節脱臼は、全身状態に大きな異常が見られなければできる限り早くに整復を実施し、安定化をさせます。脱臼後4〜5日以内で脱臼以外の疾患がない場合は、皮膚の切開なく整復する非観血的整復(いわゆる関節をはめる)を行います。
非観血的整復
十分な鎮痛と全身麻酔下で行います。脱臼整復後は、頭背側脱臼にはエーマースリング(包帯法)、 腹側脱臼にはHobble(足枷)包帯法を10〜14日間行い、安静にします。
非観血的整復のリスクとして、テープを巻くことによる 趾端部への血行障害やうっ血による足先の壊死などが考えられます。脱臼後5日以上経過している症例や非観血的整復を実施したにも かかわらず再脱臼してしまった症例、股関節形成不全などの疾患を抱えている症例には、観血的整復(いわゆる手術)を行います。
観血的整復
- 関節包再建術
骨盤にスクリューを打ちつけ、非吸収糸でスクリューと大腿骨を結びつける方法。 - 大腿骨頭靭帯再建法(トグルピン法)
骨盤の寛骨臼と大腿骨に穴をあけ、ファイバーワイヤーなどで 人工の大腿骨頭靭帯を作成。特殊な器具、トグルピンを寛骨臼側に埋没させる。
トグルピン法専用ドリルガイド エイミングデバイス
中空ドリル先
スーチャーボタン - 大腿骨頭・骨頚切除術 Femoral Head and Neck Ostectomy(FHNO):救済的手術
大腿骨頭骨頚部を切除し、繊維性関節に転換する。 安定化には数ヶ月かかる。
- 股関節全置換術Total Hip Replacement / Arthroplasty(THR/THA):再建的手術
寛骨臼と大腿骨頭及び骨頚部を人工材料に完全に置き換えることにより、関節機能を正常またはほぼ正常まで近づける手術。適応される年齢は10ヶ月齢以降、小型〜大型の症例まで対応しています。重度の変形性関節症・慢性的な反復性股関節脱臼の症例などで適応されます。