しかし、一言に腫瘍と言っても、完治を見込めるものもあれば、残念ながら完治が難しく、できるだけ動物の苦しみをとっていくことが治療の目的になるものもあります。そのため、適切な治療を選択し行うには、腫瘍に対するしっかりとした知識を持って診断を行っていくことが非常に重要となってきます。
当院には日本獣医がん学会の腫瘍科Ⅱ種認定医が在籍しており、常に最新の知見に触れておりますので、「体にしこりが見つかった」、「がんと診断されて悩んでいる」といったことなど、お悩みのことがあれば、お気軽にご相談ください。
腫瘍は人と同様に発見が早ければ早いほど完治を見込めますし、発見が遅くなれば完治が難しくなります。このように同じ腫瘍でも進行度(ステージ)によって治療方針や予後が大きく変わってきます。
*例えば、よく見られる犬の乳腺癌の場合
初期のステージ1~2では生存期間中央値は28 カ月ですが、進行したステージ3以上では10カ月と大きな違いがあります。
同じ腫瘍でも発見や治療が遅れ進行すると、生存期間がおよそ3倍も変わってきます。
また、乳腺癌はステージ4までであれば外科手術を行うことにより完治も見込めますが、肺などへの遠隔移転のあるステージ5では残念ながら手術不適応となり、完治は難しく、緩和的な治療を行っていくことになります。まずは、ご自宅でのこまめなグルーミングやコミュニケーションをとり、しっかりと体を触ってあげることが大事です。それに加えて、病院での定期的な身体検査や健康診断をお勧めしております。特に腫瘍ができやすくなる7歳以上の子には年2回の健康診断を推奨しています。
しかし、実際に病院で検査してみると・・・、悪性腫瘍だったということも珍しくありません。実は、見た目だけでは良性のイボと悪い腫瘍は区別できないのです。
〇喉が腫れている
〇以前はなかったのに、急にしこりが見つかった
〇以前からあったしこりが、最近急に大きくなった
〇以前からあったしこりが、大きくなったり小さくなったりを繰り返している
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一般的な診断の流れ
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細胞診(FNA)採血と同じ細い針を「しこり」にさして、顕微鏡で診断する検査です。動物への負担も少なく、素早く検査できます。この検査だけで確定診断ができ、すぐに治療にうつれる腫瘍も少なくないため、必ず行います。
代表的な腫瘍
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イヌのリンパ腫
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ネコのリンパ腫
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組織球肉腫
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ネコの肥満細胞腫
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イヌの肥満細胞腫
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生検細胞診で腫瘍が疑わしいが、確定的ではない場合は、病変の一部または全体を切除し、病理組織検査を行い、診断をつけます。他に特殊検査として、遺伝子検査で診断できる腫瘍(膀胱移行上皮癌、前立腺癌)もあります。
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ステージ分類腫瘍の診断がついたら、その腫瘍の進行度(ステージ)の判断を行います。ステージ分類とは、腫瘍が局所にとどまっているのか、あるいはリンパ節や肺など他臓器に転移しているのかを判断します。治療方針や治療開始後の効果判定に大きく関わってきますので、必ず行います。
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行う検査・レントゲン検査(肺転移の有無)
・超音波検査
・細胞診(FNA)(リンパ節転移の判断)-
肺転移のレントゲン写真
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リンパ節転移の超音波写真
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治療治療方針として、大きく分けて2つあります。
① 根治治療:完治を目指す治療
② 緩和治療:完治を目指すのではなく、動物の生活の質(QOL)の向上を目的とする治療
腫瘍の種類、進行度(ステージ)や動物の状態、飼い主様の意向を合わせて、その子に適した治療方針を相談させていただきます。
〇化学療法
〇放射線療法
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陰唇部の肥満細胞腫 手術前
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手術後(完全切除)
当院で扱っている化学療法剤の一部