猫コロナウイルスの変異によって引き起こされる
致死性の高い病気 FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療薬を導入しました
FIP(猫伝染性腹膜炎)は、1歳前後の子猫が感染しやすく、
発症すると数日から数ヶ月でほぼ100%が死に至る病気です。感染・発症の詳しいメカニズムが解明されていないため治療法も確立しておらず、不治の病とされ、治療薬もありませんでした。
しかし近年、FIPに有効とされる治療薬が海外で報告されるようになり、治療を切望される国内の飼い主様のお声も増えていることから、当院でもFIP治療薬(モルヌピラビル:内服薬、レムデシビル:注射薬)を導入し、治療にあたることといたしました。
FIPは進行の早い病気であるため、早期発見・早期治療がなによりも重要です。
次の症状に心当たりがあるようでしたら、様子を見ずにすぐ受診 してください。
※症状は大きく2つのタイプに分かれますが、最近では混合タイプも多く見られます。
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- 血液検査
- 貧血の有無、黄疸の程度、炎症蛋白の上昇などを評価します。
- レントゲン検査
- 腹水・胸水の有無、腫瘤性病変の有無を評価します。
- 超音波検査
- 腹水・胸水の有無、腫瘤性病変の有無、リンパ節の腫大を評価します。
- 貯留液検査
- 腹水・胸水の性状(蛋白濃度・細胞数)を評価します。
- 蛋白分画検査
- FIPで上昇することの多いグロブリンの評価をします。
- 遺伝子検査
- 血液・貯留液からウイルスの量を検出します。
- AGP
- FIPで上昇することの多い炎症マーカーを評価します。
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別の疾患が隠れていないかの鑑別も並行しておこない、診断へと進みます。
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その子の状態に合わせ、治療薬(抗ウイルス薬)を選択します。どちらも新型コロナ感染症の抗ウイルス薬になります。可能な限り完治(寛解)をめざします。
- モルヌピラビル
- 経口薬
- レムデシビル
- 注射薬(動物用)
Q&A
Q猫コロナウイルスと新型コロナウイルスは関係がありますか?
猫コロナウイルスは多くの猫が腸内に保有しているもので、新型コロナウイルスとは別物です。
しかし、この猫コロナウイルスが糞尿を介して他の猫の体内に入り込み、遺伝子突然変異を引き起こすと、強毒性の
FIPウイルスになると言われています。詳しいメカニズムはまだわかっていないため、感染を防ぐには他の猫からのコロナウイルス感染経路をできるだけ断ち、感染リスクを下げていく以外にありません。
Q感染リスクが高いのはどんな猫ですか??
免疫力がまだ弱い“子猫”が圧倒的に多く、次が老猫や持病のある子となります。他の感染症に冒され、免疫が抑制された状態でも感染・発症率は高まります。
飼育環境では以下の子がハイリスクと言えます。
①外飼いの子(不特定多数の猫と触れ合う機会が多いから)
②多頭飼いの子(室内飼いであっても他の子や新入りの子から感染する可能性があるから)
③保護された子(①と同様、保護施設で管理されていた場合は②と同様)
④繁殖された子(ブリーダー施設で商業繁殖された場合は②と同様)
また、ストレス下でも発症リスクは高まります。
①外科手術後
②ワクチン接種後
③引っ越しや旅行など
「飼い始めた子の様子がFIPの症状に似ている…」
「かかりつけの病院でFIPと診断されたが治療はできないと言われた…」
今、そんなお悩みを
抱えていらっしゃる飼い主様は
すぐに当院までご相談ください。
FIPは進行の早い病気です。
治療が遅れると、
治療薬を使用しても
救える可能性は減っていきます。
- 他院で診断またはFIPが疑わしいとわかっている場合はあらかじめご連絡ください。
- 費用など詳細につきましては受診時に詳しくご説明させていただきます。
電話、メール、SNSでのご質問は受け付けておりませんのでご了承ください。