皮膚科
動物病院を受診する理由の3~4割は皮膚のトラブルだと言われています。日本の高温多湿な気候を背景に感染症が多いこと、また近年はアトピーなどアレルギーによる疾患も多く見られることから、多くの犬や猫にとって皮膚疾患は最も身近な病気であると言えます。
犬や猫の皮膚は、人間と同様に表皮・真皮・皮下組織の三層構造になっていますが、毛に覆われていること、汗腺がないこと、アルカリ性であることなどの違いがあります。皮膚細胞が生まれ変わるターンオーバーの周期も人間に比べて若干短くなっています。
皮膚は最大にして唯一の「見える臓器」です。変化が見えるので病気を見つけやすい、経過観察もしやすい、という利点があります。
症状
- 赤みのあるブツブツ(丘疹)
- ジュクジュクした湿疹
- 地肌がカサカサ、ゴワゴワ
- 肌の色が黒ずんできた
- 痒そうに舐めたり擦ったりしている
- フケがたくさん出る、かさぶたがある
- 脱け毛が多い、部分脱毛
- 鼻まわり、足の付け根などに赤み
診察の流れ
問診
皮膚に関すること、生活に関することなど細かくお話を聞かせて頂きます。これまでの経過やわんちゃんや猫ちゃんの生活スタイルなども皮膚病の原因を探る重要な手がかりになります。いつ頃から症状が出たのか、そしてどのような経過なのか、家でのわんちゃんや猫ちゃんの様子などを飼い主様からの目線でのお話を教えて頂ければと思います。
身体検査
皮膚の状態(皮疹)やその分布だけでなく、耳、歯、関節、聴診など全身を診させて頂きます。
検査
皮膚科的検査
血液検査
皮膚疾患の中には代謝や内分泌が関係することも多く、また治療に使用する薬が安全に使えるかどうか調べるためにも血液検査は必要になってきます。
レントゲン検査
皮膚疾患とあまり関係がないように思われますが、長期にわたる痒みを思わせる掻き行動や舐め行動が関節の痛みや神経学的疾患によることがあります。そのため、レントゲン検査が必要になることもあります。
代表的な皮膚の疾患
ニキビダニ症
毛包に常在するニキビダニが過剰に増殖することで皮膚に炎症をおこす病気です。この病気には動物側の要因も大きく、免疫が低下するような要因を考えていかなければなりません。もちろんまだ免疫能がしっかりしていない若齢の個体では成長と共に良くなることもありますが、高齢の 個体では免疫能が低下する全身の問題がないか調べる必要があります。治療にはニキビダニの駆虫と一緒にシャンプー療法で皮膚のコンディションを改善していきます。
膿皮症、細菌性毛包炎
犬によくみられ、表皮や毛包に主にブドウ球菌であるS.pseudintermediusが感染し、発生する。短毛種では背部に赤いぶつぶつ(丘疹)がみられることが多く、長毛種では腹部に脱毛やフケを伴う赤い斑としてみられることが多い。シャンプー療法や抗生物質の投与で治療します。再発する場合にはその要因を考えていかなければなりません。
マラセチア皮膚炎
皮膚に皺や脂の分泌が多い犬でみられます。マラセチアという脂の好きな酵母に関連した皮膚病で、皺が多く脂のたまりやすい首、内股、腋、腹部に多くみられます。これら部位の皮膚が赤くなり、フケが多くなり、痒みを伴います。
シャンプー療法やマラセチアの管理を目的として抗真菌薬の投与を行います。脂の多い犬種(シーズーやアメリカンコッカースパニエルなど)ではうまく皮膚の状態を良好に保つことを目的として治療していきます。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症はおもにMicrosprum canisと言われるカビが増殖した皮膚病です。犬よりも猫でよく見られます。毛やフケに感染し、脱毛やフケがみられます。治療には抗真菌薬の投与が行われます。そして、落ちた毛やフケが感染源になり、環境中で長期間生存するため、生活環境の清浄化が必要になってきます。ヒトにも感染することがあるため、注意が必要です。
アトピー性皮膚炎
顔(眼の周り、口周り、耳)や肢端(指の間など)の痒みが特徴で、はじめは皮膚が赤く(紅斑)ひっかき傷がみられます。慢性化すると皮膚はごわごわしたかんじになり(苔癬化)、色が黒くなってきます。日本では犬種的に柴犬に多くみられ、比較的若齢で発症します。多くの場合、ハウスダストマイトに対する血清IgEが上昇しているため、この病気を疑う場合には血清IgE検査を行うことがあります。治療は痒みや皮膚炎を抑える治療を行い、皮膚のコンディションを整えていくスキンケアを行っていきます。